社長の声が届かない最大の理由!

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明文化された「経営理念」と「ビジョン」の違いを考察してみます

経営理念とは「組織の思い」でありビジョンはそれを追求するための「青写真」ではないかと思います

とても有名な事ですが、アップル社には行動規範として記された「経営理念」というものはないのだそうです

なぜなら何をやるべきかというビジョンを示せば、どう動くのかは自分自身で見つけ出すというのが、ステイーブ・ジョブスの持論であり「行動規範を示す必要はない」ことが彼の理念だったからです。

「経営理念」を作らなくても、自発的に目的に向かえる組織であることが経営理念なのです。

しかし、ジョブスは多くのビジョンを語りました。

“テクノロジーを介して何百人もの人の生活を変える”

これが創業当初に示したビジョンです、

そして、「マッキントッシュ」という現代のパーソナルコンピュータの基礎となるべき製品の開発を成功させます。

「Think different」(発想を変えろ)はアップル社の有名なメッセージです。

アップルを追われ、そして復帰を果たしたジョブスが発したアップル社のスローガンであり、「think different」はアップル社の強固な哲学を表すビジョンとして5年間に渡り内外に示し続けられました。

 

「Stay hungry Stay foolish」(ハングリーであれ、愚かであれ)という言葉を始め、ジョブスの残した数々のメッセージはそのままアップル社のビジョンを体現する方法として共有されました。

ジョブスが発信したビジョンは、「Mac」「ipod」「ipad」「iphone」と言った商品を生み出し世界を変えました。

「テクノロジーを介して何百人もの人の生活を変える」「発想を変えろ」「ハングリーであれ、愚かであれ」こういったメッセージを発信しながら『自発的に目的に向かえる組織』を作り上げ、どこにも記されてはいませんが、没した現在でもその理念は受け継がれています。

 

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「カリスマの領域」・「神の領域」

カリスマと歩む喜び

かつて勤めていた企業は事あるごとに経営者がビジョンを語っていました。そしてこれを聞く機会がことあるごとに、強制的に設けられていました。

 

「お客様は恋人であり、社員は我が子である」という経営理念が明文化され「お客様のために、社会に貢献し、社員を大事にする」という経営方針がありました。

 

「全ての女性を美しく」というキャッチフレーズが企業のビジョンとして共有され、宝飾品の販売を革新的な取り組みで身近なものとして広げることに貢献しました。

 

トップが発信し続けるメッセージを行動規範として企業は大きく成長しました。

 

私がこの企業で働くようになっていた頃には既に規模も大きく、新入社員である私が経営者と直接口を聞けるような状況ではありませんが、経営陣をはじめ多くの社員は経営者の言葉に 心酔していたのを覚えています。

 

経営者のカリスマ性を引き立たせたのは、創業当時からの社員で、経営者のビジョンを直接聞き続け、共有して、実現させてきた人たちで、彼らは経営陣としてボードメンバーであったり、古参の管理職やインストラクターとして、 企業の中枢で、経営者と叶えてきた夢を語る伝道師のような役割を持っていました。

 

この頃の彼等には、トップ経営者に対するリスペクトと、一緒にビジョンを叶えていくという輝きと喜びがありました。

 

畏れが恐れとなる悲劇

しかし、途中から少し雲行きが怪しくなります。

「全ての女性を美しく」というキャッチフレーズよりも、「〇〇店舗、〇〇億円」達成! が大きなキャッチフレーズとして声高に唱えられるようになりました。

これはこれで、企業のあり方としては間違いではないのですが、キャッチフレーズの変化とともに理念の解釈が変わってきました。

「恋人であるお客様」がどうして欲しいのか

「我が子である社員」の幸せの定義とは何か

 

「ともに夢を叶える喜び」から、社長に「見捨てられない安堵感」を求めることが企業内の価値として大きくなっていったのです。

カリスマが望んで神となったのか?周りが神に仕立てたのか?それはよくわかりません、しかし神となった経営者のそばには、ヨハネもペテロもおらず、その言葉を伝えるものが社内には一人もいない状況になっていたことが一番の問題だったと思います。

ジョブスは神だったのか?

前述したように、ジョブスは自ら創設したアップルを自らスカウトした経営者の手によって主力業務から外され去っています。

この時点では神ではなかったようです!

再び舞い戻り、同じ理念の下にビジョンを発信し続け組織を引っ張ります。

ジョブスが個性的で、熾烈であったことは有名です、ビジョンを叶えるためには相当ドラステイックなことも行われていました。

それでもアップルが輝き続けたのは、ジョブスが追う夢に共感し、達成する喜びを持った人達の集団だからではないでしょうか。

アップル製品の強みは共感です。

圧倒的な支持を得るのはそこに理由があります。

神を信仰するという言葉はあっても、神に共感するとは畏れ多くて使いません。

偉大なジョブスは永遠のカリスマとなりましたが決して神ではありません。

信念のために近代医療を拒否し、命を縮めたことは偏屈者としての逸話として残り、それを後悔していたという下りはとても人間的なエピソードとして語り継がれています。

権力者の言葉が理解できない時に人々は取り敢えず崇めることとなります。

リーダーは、いつの間にやら手っ取り早く「触らぬ神」として祀りあげられてはいないか注意をしなければ、その声はどんなに叫んでも人の心には届かなくなるからです。

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ono@comima.info

おのやすなり 日本コミュニテイー・マーケテイング研究会(通称コミマ) 代表 「社員のための社長史」「現代から見たあなたの過去と未来」「my life my art」などライフストーリーを伝えたいメッセージに変換し、発信を行っています。 1964年生まれ:大学卒業後、宝飾・アパレルチェーンにて、ストアマネージャー、エリアマネージャーとして勤務。その後温浴レジャー事業プロジェクトを計画していた企業に転職。取締役事業部長として複数の温浴施設、飲食店の開発、運営に携わる。 組織運営、顧客との関わりの中で重要な「理念」を伝えることを目的として会社設立。

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