遺言書を残そうとしない人の3つの間違った解釈

「理念」について

先日京都で遺言作成、相続手続きを専門に取り扱いをされている行政書士さんのお話を聞く機会がありました。

 

遺言書作成のプロから見た作成に関わる悲喜こもごものお話は興味い深い具体例が満載で、ちょっと大げさで自分には無縁と思われていた遺言書の必要性を強く感じることができました。

 

 

資産家でなくても揉める相続:相続裁判の30%は総資産1,000万以下

 

相続絡みで家庭裁判所に持ち込まれる案件は年間で1万5千件、そのうち30%は相続すべき遺産総額が1000万以下、つまり数百万の遺産配分を家族間だけでは解決できず争いになっているのです。

 

5,000万以下だとこれが全体の75%になります。遺産相続は資産家だから起こる問題ではないのです、当然ですが資産というのは現金や有価証券だけではなく、土地や建物など簡単に分配できないものも含めての話です。

 

そう考えると随分多くの家庭が該当することになるようです。

 

しっかりしていることと、頭の回転力は意味が違う

身体もも頭も至って元気、健全そのもの!60代はひよっこで、70代はまだまだ若い、80代でも若い者には負けていない・・・!!

 

人間の活力年齢は年々伸びてきているのは事実です、ボケるなんて先の先!

 

シルバー世代は本当に元気です、しかしどれだけしっかりしているとしてもそれは「その年齢で」というカギカッコ付きである場合がほとんどです。

 

「40代並みの頭の回転力」「50代並みの体力」とは「並み」とは同等であってそのものではないということを忘れてはなりません

 

40代50代と比べ頭の回転は全くおなじとは言えないのが現実、これは生物学的に当然のことなのです。

 

遺産相続を巡る遺言に盛り込まなければならない内容は複雑なことも多く、中にはとてもナイーブで慎重な判断が必要な問題も含まれます。ようはとても面倒なことを考えなければならない!!

 

認知症になればもちろんのこと、老化という訳ではなくても間違いなくこういった判断能力は落ちてきます、先延ばしにすればするほどその状況は深刻になってくるのだそうです。

 

多くのクライアントの方との経験からその多くは、”もう少し早く相談頂ければ”と思う案件が大半なのだそうです。

 

うちの家族に限って相続問題は起きない

さて、相続問題が発生したご家庭でもっとも聞かれる言葉は”まさかうちが相続で揉めるなんて思わなかった”という言葉だそうです。

 

相続問題が起きないのではなくて、考えたくないのが本当の理由

 

親世代と子供世代は相続に関する考え方が全く違います。相続問題は親が元気なうちは潜在化しています、問題に直面して初めてそれぞれのスタンスが明確になるのです。

 

顕在化した問題で生じる心の違和感が以心伝心で伝わり解決するか?

 

血を分けた兄弟であったとしても決してそうではないのです。

 

寧ろ兄弟という近い存在だから意識してこなかった感情が、相続問題をきっかけに顕在化するケースが非常に多い。

 

先ほども述べましたが、自分の子供や家族が財産問題で揉めるとは思っていない、というのはそんな現実は起こって欲しくない、そんな面倒なことは考えたくないという心の表れです。

 

これを考えることは精神的に負担もかかるし、いろいろな事を考えなきゃならい、頭を使う作業だからです

 

相続問題を引き起こす相続人でない人たち

とても仲の良い家族、子供の頃から信頼しあえている兄弟。

 

そんな子供たちが相続なんかで揉めるはずがない、その考えが間違っているとは言いません。

 

しかし、相続問題で揉めるのが相続人同士とは限りません

 

子供たちの配偶者やその家族が必ずしも同じ感情を持っているかと言えば決してそうではないからです。

 

何十年も会ったことのない親戚や、結婚式以来会ったことのない配偶者の叔父と名乗る人が突然登場するなんてことも起こりえます。

 

映画や小説の中でしかありえない登場人物が引っ掻き回すドラマチックな展開が起こらないとは言い切れないのが相続問題なのです。

 

 

大切な家族を守るのがあなたの役割

ご自身の財産をどう配分するのか?

 

それを決定できるのは思考能力がはっきりとした自分である事を忘れてはいけないのですね。

 

もしかしたら残された人たちが自分が逝った後に書かれた遺言書によって不平を覚えるかもしれない。それでもあなたのモノを誰にどう配分するかを決めるのはあなたの責任なのですね。

 

例え、その一瞬その判断に違和感を覚えたとしても、あなたのものを誰にどう配分するかを残された人たちに委ね、あってはならないですが憎しみを産むよりも、決定権のあるあなたの決めた事実を受け入れることの方が、例えそこに不満を感じたとしても楽なのではないでしょうか。

 

遺言書とは生きる自分が成すべき責任を表すことだと強く感じました。

 

お話を伺った行政書士

園行政書士事務所 園久典氏

公式HPはこちら

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ono@comima.info

おのやすなり 日本コミュニテイー・マーケテイング研究会(通称コミマ) 代表 「社員のための社長史」「現代から見たあなたの過去と未来」「my life my art」などライフストーリーを伝えたいメッセージに変換し、発信を行っています。 1964年生まれ:大学卒業後、宝飾・アパレルチェーンにて、ストアマネージャー、エリアマネージャーとして勤務。その後温浴レジャー事業プロジェクトを計画していた企業に転職。取締役事業部長として複数の温浴施設、飲食店の開発、運営に携わる。 組織運営、顧客との関わりの中で重要な「理念」を伝えることを目的として会社設立。

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